有馬へ。
LANAの闘病生活とともに、おもちゃデザイナー・加藤裕三の書籍企画も同時進行していたのだが、関西が拠点のために遅々として進まなかった。
2001年5月5日に他界した加藤氏の歩みを余すところなく伝えたいと思っていたので、執筆者の吉田光夫氏との意識合わせにも時間がかかった。
また、加藤氏の足跡を語るには、関わった人物へのインタビューも必須だ。
取材スケジュールは吉田氏と擦り合わせながら進めた。
ちょうどLANAを森下動物病院で診てもらった頃、私は兵庫県の有馬温泉へ取材に向かった。
有馬は加藤氏の最後の場所だ。
有馬にあるミュージアムショップ「ALIMALI」は、加藤氏が店長を務めていた。
加藤氏を偲ぶギャラリーは、制作ファクトリーをそのまま残したものだ。
加藤氏の作品が所狭しと展示されており、制作デスクには道具が並ぶ。
ここに玩具博物館を建設する企画も進んでいて、加藤氏が描いた完成図も展示してあった。
志半ばで他界してしまった加藤氏の意志を引き継ぎ、有馬玩具博物館の建設は進んでいた。
今年、2023年4月28日に、有馬玩具博物館はリニューアルオープンしたのである。
オープンから20年。
私が取材で訪れた時には建設途中だったあの場所に、今も加藤裕三の夢が形となって現存していることが嬉しい。
2003年、書籍企画も佳境に入ってきた頃、私のオートバイ事故、LANAが他界したことが重なり、撮影・取材スケジュールを大幅に延期。
春3月になってようやく再スケジュールを組む。
加藤裕三の出発点でもある木の工房がある長野から始まり、大阪、兵庫・芦屋
有馬へと取材敢行。
いよいよ制作も最終段階。
すでに初夏の日差しが眩しい季節になっていたのである…。
To be continued......