2004年5月8日〜18日
カトウくんのおまけ 加藤裕三の世界展
於:横浜イセザキ町・有隣堂ギャラリー
このイベントでは、書籍「カトウくんのおまけ」「グリコのおもちゃ箱」の他に、グリコのキャラメル「木のおもちゃシリーズ」ソニークリエイティブプロダクツ「Toy Box of Glico」の販売と、グリコのおまけで遊ぶコーナーを展開。
もちろんメインは、東京造形大学「玩具・遊具研究ゼミ」の春日明夫教授と研究生・ゼミ生たちによって制作された特大レプリカだ。
さらに、横浜とおもちゃと言えば、なんでも鑑定団でお馴染みの北原輝久氏。
有隣堂ギャラリー担当の志村さんの計らいで、北原氏と著者・吉田光夫氏の対談が実現した。
志村さんはメディア対策も万全で、読売新聞、朝日新聞の横浜支社へアプローチ、さらにNHK横浜放送局へも話をつけて、お昼と夕方のローカルニュースで紹介された。
出版から1年弱経過した新刊本でもない書籍イベントを開催することは珍しく、異例のイベントだったにもかかわらず、グリコのおまけを主人公に、子どもから大人まで楽しめるイベントにまとめることができたのである。
そして、もう一つのメインイベントは、はりがねワークショップ。
研究生たちがまとめた、素晴らしいワークショップだった。
1、まず500円の参加費を払って、針金セットを購入
2、自分の名前を一筆書きの針金で作り台紙に貼って首から下げる
3、作りたいものを下書きする
4、針金で自由に作る
5、ラジオペンチを使う時は大学生のお兄さんとお姉さんに手伝ってもらう
6、最後に、作品を会場内の大きなキャンバスに飾る
7、イベント開催中は会場内に展示、最終日に受け取りに来てね
ほとんどの子どもたちが親同伴で参加したのだが、とにかく横に座ってる親がうるさい! ああでもない、こうしろ、ああしろと。
私は何度も親たちに言った。
「お父さん、一緒に作りたかったら、お父さんも針金セット500円で買ってね〜」
そう言うと、大概の親は黙って口出しをしなくなったが、子どもに対抗して500円出す親も居て、めちゃくちゃ笑えたね〜。無言で針金に没頭してたよ。
子どもたちが創った針金工作を見て、思ったこと。
子どもは天才だと言うこと。
考えつかないようなものを創り出す。
すべての子どもたちは、み〜んな天才なのだ。
しかし、それを潰していくのが大人だ。
ここに紹介する写真の子どもたちは、すでに大人になっていることだろう。
彼らがここで受け取った加藤裕三のメッセージは、きっと心の中で生きていると信じたい。
作品展終了後に、私はHP上で以下のような編集後記を綴っている。
この準備風景記録は、東京造形大学の学生たちと出会ったときから始まった。企画の打合せや学生たちとの会話が新鮮で、社会人ウン十年になる私に忘れかけていた何かを思い出させてくれたからだ。「学校」という風景の中で、のびのびとした自由な空気を吸ったからかもしれない。いやそれよりも、加藤裕三の自由な発想やのびのびとしたユーモアのある作品が、学生たちの手によって再現されることを、多くの人たちに伝えたい、と感じたのである。
いや、ひょっとすると、
「こんなオモロイ話、めったにないでぇ〜」
と、加藤裕三が私に囁いたのかもしれない・・・。
初めて造形大学を訪れたのは、真冬の最中、雪が残る八王子。寒さで唇が紫色になっていた。そして大学に通うこと4ヶ月。
春日教授は私の姿を学校でみかけるたびに、
「原田さん、仕事は大丈夫なのかな?」
と心配していたそうだ(ご心配かけました)。
学生に馴染んでしまうほど(ずうずうしいか)私は1週間に一度くらいは学校に通っていたのだ。弁当持参でカフェテリアで研究生たちと打合せをしたこともあった。
すっかり学生気分である。そして、春が来て新学期が始まり、初々しい気分で5月を向かえる。「橋本駅」から学バスに乗る姿も、その頃には板に付いていた・・・。
学生たちと共に多くの難題をクリアしながら、7ヶ月の準備期間を経て作品展は始まった。会期中には1600人が来場し、ワークショップには73人の親子が参加した。
加藤裕三の作品と造形大学の作品がシンクロし「遊び」を創造した11日間。
これは、D出版部にとっても貴重な経験だったが、学生さんたちにも多くの思い出を残したと思う。これから社会に出ていく皆さんには、この経験を存分に生かして、大きく羽ばたいてもらいたいと願う。
(後略)
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Believe。
自分を信じて、歩き続けた40代。
LANAを失った悲しさは大きかったが、それを乗り越えることができた素晴らしい獣医師・森下先生との出会い。
加藤裕三の書籍企画を諦めずに、多くの人々を巻き込んで出版に漕ぎ着けた。
そして、1年後に開催できた加藤裕三の作品展。
東京造形大学の学生たちとの出会いは、まさに加藤マジック。
人と人との出会いで、何か面白いコトやモノが創り出される。
私は今も、そう信じて歩き続けている。
Believe (完)