原宿・竹下通りをまっすぐ歩くと、明治通りに出る少し手前にクレープ屋がある。そこを左に入ってすぐの階段を登ると、東郷幼稚園。
道なりに右へ歩くと東郷神社境内が左に見えて、そして鳥居をくぐると明治通りだ。
東郷神社の隣、そこがセコム本社ビル。
高く聳えるビルを仰げば、ここが業界ナンバーワンのセキュリティ企業であることが一目瞭然。
竹下通りにひしめく若者たちをかき分け歩く私は、傍目には違和感の塊のように見えたことだろう。しかし10代の頃から何度となく通った勝手知ったる街・原宿。
懐かしさと緊張感が入り混じった気持ちで竹下通りを急ぐ私は、セコム本社ビルへの脇道を見つけたのである。
竹下通りの喧騒がなかったかのような静けさ。
こんもりとした森の中を数分歩くことで、緊張感がほぐれるのだった。
猫たちにも出会える癒される空間。
そんな絶好な場所に鎮座するセコム本社ビルのロビーから見える東郷神社の杜には、野良猫たちがまったりしている姿さえ見ることができた。
しばらく待っていると、広報担当のO課長が迎えにきた。
私は応接室へと案内された。
そこで待っていたのは、Y部長。
私はこれまで自分が企画した書籍を見せながら、子どもの防犯絵本企画の説明を始めた。
相手が、およそ関心がない時は、話している途中からわかる。
そういう時は、こちらもエネルギーを使わない。
早く帰ろう、なんて頭の中をかすめるものだ。
しかしセコム広報室の二人が、少しずつ前のめりなってきたのがわかった。
これはいける。
そう思ったとき、Y部長が言った。
「実は、私たちも防犯絵本を出版したいと考えていたところで、しかしあまり大きな出版社ではないところがいい、そう話していたところなんです」
なるほど、そういうことだったのか。
セコム広報室は、最初から有名ではない小さな出版社を探していた、というわけだ。
そこにタイミングよく私が現れた、しかも子どもの防犯絵本の企画持参で、だ。
何かに引き寄せられるように、私とセコム広報室が出会ったようで、不思議でならない。
業界一の大企業に、月1冊出せるかどうかの弱小出版社の編集者がたった一人で乗り込んで、果たして話を聞いてくれるのか? と半信半疑だったが、お互いが求めていたことが一致した瞬間だったのだ。
子どもの防犯絵本制作は、この日から一気に加速していくのである。
まるで、何かに取り憑かれたように。
余談だが、東郷神社は東京のパワースポットらしい😆
『大事な戦いで常に勝利し続けた東郷平八郎が祀られている東郷神社は、「勝運の神社」として親しまれていて、勝運UPのご利益を頂くことができるパワースポットとして知られています。必勝祈願も執り行っており、アスリートの方も勝利をお願いしにくるのだそうです』
今頃、知った話だが、東郷神社を抜けてセコム本社ビルに通った私にも、ご利益があったのかもしれないね🤣
To be continued.....