I LOVE MY LIFE −猫とROCKと愛の日々−

2022年11月から1年に渡って還暦ブログをほぼ毎日更新、2023年11月からは海外ドラマ「Kommissar REX」そして、REXドラマの🇨🇦版/🇮🇹版のレビュー記事。それ以前は海外ドラマ「Kommissar Rex」全編のレビュー記事です。

Walking on thin ice 吉祥寺編⑧

 

1998年7月

私は謎の外国人“J”と、吉祥寺駅前の定食屋に居た。

その日は「海の日」だというのに肌寒い日だった。

Jはイスラエル人、アクセサリーを路上で売る仕事をしていた。

吉祥寺駅前や井の頭公園など、当時はどこにでもそういう外国人が居たが今もいるのだろうか。

私はイスラエル人と話すのは初めてだった。

イスラエルと言えば、KISSのジーン・シモンズイスラエル人だ。

ジーンは子供の頃、移民としてNYへ。大学卒業後はNYの小学校教師をやっていた経歴の持ち主。ジーンの大ファンの私としては、Jに興味を持つのはごく自然なことだった。

しかも彼はオートバイ乗りで、YAMAHAセロー225に乗っていた。共通の話題がいくつもあって、会話も弾んだ。セローの後ろに乗っけてもらって、青梅街道を爆走したりね。

 

オフロードバイクを乗りこなすJは、なかなかの走り屋で爽快だった。

久々のオートバイはさすがに気持ちいい! やっぱりオートバイ、いいなぁ!

 

neocats.hatenablog.com

 

くわえて、Jはやたらに明るい性格で、ペットロスで塞ぎがちだった私を笑わせてくれる貴重な人だった。

 

8月末、私はエステティックサロンを辞めた。精神状態もあまり良くなく、しばらく家で猫たちとのんびりしたいと思ったからだ。

しかし、あまりのんびりもしてもいられず、仕事を探さなければ、と思っていた時、アルバイト募集の張り紙が目に入った。

家に帰ってから電話をしてみたら、すぐに面接をしてくれるという。

私は、支度をして面接に出かけた。

そこは、細長いスペースに長いカウンターが奥まで続いているカウンターバー。

夜8:00から深夜3:00までの仕事だ。面接は問題なくパス。でも一つ条件があった。

年齢だ。

「客には29歳って言ってくれる? 吉祥寺は若い客が多いから35歳だとちょっとね…。若く見えるし29歳で大丈夫だから、ね!」

干支は酉年、1969年生まれ。間違っても卯年なんて言わないようにっと。

35歳って、もうおばさんなんだ。私は、フッと笑ってしまった。

実は、当時の私はかなりの酒豪だった。

酒を提供する店にとっては、もってこいの人材だったのである。とは言え、飲めば酔っ払う。29歳なんて忘れて、そのうち古い映画や音楽の話題で盛り上がるうちに、いつの間にか35歳だとバレた😅

「まーいいじゃないですか、飲めるんだから〜」

ってことで、35歳で突っ走った🤣🤣🤣

 

 

秋風が吹き始めた頃のこと、バイトがオフで私はJと食事の約束をしていた。

いつもセローで迎えに来るので、エンジンの音でわかる。

しかし、その日は約束の時間になってもなかなか現れない。

どうしたのか…とは思ったが、あまり気にもならなかった。

なんというか、気まま過ぎる性格というのか、いい加減というのか。

ま、明日アパートに電話してみよう。

そのくらいの感覚だった。

 

翌日。私はアパートに電話をした。

 

「Hi, it’s Yuka, may I speak to “J “ please?」

 

電話に出た男性はしばらく沈黙して、こう言った。

 

「He is not here anymore.」

 

うん? anymore ????

 

「Huh?  Where is he now?」

 

電話の向こうでため息が聞こえた。

 

「He is in a hospital now..」

 

え?!

 

 

To be continued…