40年の封印を解き、あの場所に佇んだ時、私は祈った。
神さま、
あの時の17歳の彼と16歳の私の姿で、きっとまた会えますように。
私はまだ彼に“ありがとう”と言ってない。
たくさんの愛をありがとうって。
この一言を伝えたいだけなのです。
きっと、天国で。会えますように。
………………….
私とNが夢中になったもの、トムとジェリーのほかにもう一つある。
少年漫画の
ハイティーン•ブギ
暴走族のリーダー・翔と、秀才だが不遇な少女・桃子のストーリー。
小学館から1979年に単行本化していた少年漫画だ。
私の記事の、少女漫画に学ぶシリーズにまとめようとも思ったが、ジャンルが違うのでやめた。
もっと言えば、この漫画は私にとって特別なものだから…。
「俺たち、翔と桃子みてぇだな(笑)」
そう言って、私たちは笑った。
彼が買ってきた単行本を私が借りて読んだり、彼の部屋で一心不乱に読んだりしてた。おそらく、3巻くらいまで読んだ記憶があるが…、定かではない。
しかし、Nが去った後はその先のストーリーさえ封印したのだ。
今夏、ようやく電子書籍化されたことで、Kindle Unlimitedで無料で読めるようになった。
なんと!26巻まである!
私は記憶を辿るため、今読み続けているのだが…。
ストーリーの進み具合が、遅々として若干たるい。
しかし、あの頃、私たちがこの漫画に傾倒した理由は、私たちの境遇と似ていたからだろう。
Nが私にプロポーズした言葉。
「俺の子どもを産んで欲しい」
漫画の中で二人が子ども(実は翔の子どもではないのだが)を育てるシーンや、
生まれるまでの小さなアパートで暮らす風景が、彼には幸せになれるゴールのように思えたからだろう。
翔は小さな子猫も飼っていて、私が猫を飼いたいと思った理由にも繋がる。
様々な苦境に立ち向かいながら、二人は愛という大きな盾で闘って生きていく。
私たちはそんな夢を描いていたのかもしれない。
Nが去った後、私は2羽のインコを飼った。
オスは翔、メスは桃子と名付けた。
翔と桃子はあまり仲良くなかったが、それでもなんとなく心が和んだ。
しかし、翔が病気になって先に逝ってしまい、その後を追うように桃子も逝った。
私は、2羽をG岳の頂上に墓を作って埋めた。
今もあるだろうか…。
2羽は今、天国で一緒にいるね。
私たちもいつか、
そこに行って一緒に暮らせればいいな。もう少し待っててね。
インコの翔と桃子…。