ハワイで生まれたアフリカゾウ・マカマカ
サンスター文具株式会社初のオリジナルキャラクター・マカマカは、同社の新商品発表会でぬいぐるみ、各種文具、メモ帳、バッグ、レターセットなどの展示とともに、絵本も発表することになっていた。そのため3月の発表会までには、何としても完成させる必要があったのだ。
マカマカ担当の営業課長Y氏が、作者の神尾由里子氏に、既存のイラスト以外に追加の絵を描かせることを躊躇したのも当然だ。
マカマカの商品全てを彼女が監修しなければならず、それだけでも大忙しだった。
その上、新たに絵を描くことがどれだけ大変だったか。
一方、私はストーリー展開と世界地図を照らし合わせながら、頭を抱えていた。
マカマカが住むハワイから、ロシアのアムールヒョウにたどり着くまでには、どうしても海を渡らなければならない。
一体、ゾウは何キロ泳ぐことができるのか???
私は、空想の世界を描くつもりは毛頭なかった。
子どもたちに絶滅危惧種の動物たちを伝えるには、真実が必要だったのだ。
ひらめきだけで構想したストーリーだったが、ハワイからロシアまで、ゾウが海を泳いで行けるのかどうか?
どこかにそんな記録が残っているのならまだしも、それに大体、何でアフリカゾウがハワイでウロウロしているのだ🤣*いや、ハワイにもゾウは住んでいる*
そうだ!
専門家に監修してもらえばいい!
それだ!
私は、WWFジャパンにアポをとり、企画書片手に本部に乗り込んだのである🤣
こうと決めたら何がなんでもYESと言わせる!
WWFジャパンの担当者、S女史は丁寧に話を聞いてくれた。
そして、絵本監修を快諾してくれたのだ。
動物の専門家がついてくれれば、鬼に金棒!
まずは一番のネック、“アフリカゾウが、もしも海を泳ぐことがあるとすれば、ロシアまで辿り着けるか?”
「大丈夫でしょう。ゾウは泳ぎも上手です。一気にロシアまで行くのは無理ですが、陸地を経由すれば行けるでしょう」
S女史の心強いアドバイスをもらったので、私は再び世界地図と睨めっこだ☹️
マカマカのルート検証に入ったのである。
さらに、もう一つの山。
NHKスペシャル「絶滅から救えるか、アムールヒョウ」の中で、アムールヒョウを追い続けて30年のYuri Shibnev(ユーリ・シブネフ)氏が「プザン」と名付けたアムールヒョウ。
この実在するアムールヒョウを絵本に登場させたい。
私は、ストーリーを思いついた時から、ずっとそれを考えていたのだ。
ロシア語で「太っちょ」という意味の「プザン」は、とても魅力的でハンサムなアムールヒョウ。しかし、いつも何かを言いたげな、崇高な雰囲気を纏った美しいアムールヒョウだった。
「プザン」を絵本に登場させたい。
それは、単なる私の個人的な願いだったのかもしれない。
しかし、どうしてもそのこだわりを捨てることができず、とにかく会って話してみよう。
私は番組を制作したNHKのプロデューサー・小林達彦氏にアポを取り、渋谷のNHKへと向かったのだった…。
To be continued …..