ゾウのマークの動物病院
船橋に住んでいた頃、猫たちと暮らして20年経っていた。
いろんな土地で、いろんな動物病院に通った。
・TSUNを診てくれたダクダリ大橋病院
・BOSSが大好きだったダクタリ大宮病院、そしてダクタリ久我山病院
・LANAの複雑骨折を神業で治療した宮田動物病院のヤクザ先生
・みつあかを看取ってくれたおおむら動物病院
・みつ子の歯が折れた時、緊急治療してくれた三鷹獣医科グループ
いつも親身に治療してくれた医師の方々に、心から感謝している✨
そして、2002年秋。
私は、森下動物病院を見つけた。
優しい顔のゾウのマークが印象的で、ここなら大丈夫だ! という根拠のない希望を持って、LANAを連れていったのである。
私は受付で、これまで二つの病院で診察を受けたが一向に回復しないことを説明した。すると、受付の方が病院の方針をこう説明した。
「ここでは予約診療はしていません。来院した患者さんを順番に診察します。院長先生は病気についての説明を飼い主さんにしっかりお話しするため、診察時間が長くなるケースが多々あります。お待たせすることもありますが、ご理解ください」
なるほど、だからこんなに待合室が混雑しているんだ。
しかし、患者が多いということは、評判がいい証拠👍
私はソファに座って、順番を待った。
すると、同じように猫を連れてきていた奥さんが話しかけてきた。
「初めてですか?」
「はい、ここが3軒目の病院です」
「そう、でも大丈夫ですよ、ここの院長先生はしっかり治してくださいますからね」
「評判いいんですね」
私は、ようやくいい病院と出会えたかも、とホッと胸を撫で下ろした。
これまでのような悲しい思いをしなくてもすむかもしれない。
そうこうしているうちに、かれこれ、1時間以上は待っただろうか。
ようやく、LANAの名前が呼ばれた。
「こんにちは」
「はい、どうぞどうぞ、お待たせしましたね。猫ちゃんですね」
私は、LANAが入っているキャリーを診察台に乗せて、ジッパーを開けた。
LANAは奥にへばりついて、力の限り抵抗している。
無理もない、これまで何度も嫌な思いをしてきた病院だ。
怖くて仕方ないのである。
「ラナ、ほら、出なさい。ラナ!」
「僕がこっちを持ってますからね、ゆっくり出してあげましょうね」
院長先生がキャリーを持ってくれて、私はLANAの手を引っ張った。
LANAは「イヤ〜」というような声を出して抵抗したが、結局、出てきた。
体重、検温をしたあと、先生は触診を始めた。
緊張するLANAと私。
お腹のあたりを触った時、先生は「うん?」と小さな声で言って、首をひねった。
そして、血液検査、レントゲン、一通りの検査をした。
「いや、これは! きれいに付けてありますね」
例の、LANAの複雑骨折の治療痕である。脚の骨に巻かれた2箇所のワイヤーがきれいに残っている。下町のヤクザ先生の技だ。院長先生も舌を巻いた。
しかし、この日の診察でも原因は判明しなかった。
そして、これまでの2つの病院での治療法は、間違ってはいないという説明。
まずはアレルギーを疑ってみて、処方食、投薬治療、というもの。
しかし、すでに1ヶ月が経過しているというのに、一向に良くならないのは、他の原因も考えなければいけない。次なる治療法を見つけるために、次回はエコー検査をすることになった。
ようやく診察から解放されたLANAは、キャリーを診察台に乗せた途端にピューっと中に滑り込んだ!
「帰るときは足取り軽やかですね」
と、優しく笑う院長先生は、朗らかで好感の持てる人柄、真摯に診察してくれる姿に、私もLANAもやっと信頼できる先生に出会えたと心が軽くなった。
LANAを入れたキャリーを自転車の後ろにしっかり固定して、
「ラナ、帰るよ〜、しっかりつかまってるんだよ」
と、自転車を漕ぎ始めると、LANAは後ろでミャ〜ミャ〜と騒ぎ始める。
「あの先生、優しくて良かったね、なんか…、トッポジージョ🐭に似てると思わない?」
LANAは私の話など無視して、ずっと後ろでミャ〜ミャ〜と大騒ぎをしている。
そう、森下院長先生は、私が子どもの頃に流行った、イタリアのキャラクター・トッポジージョ🐭に似ている!(と個人的に思っている)
私はそれ以来、院長先生を🐭ねずみ先生🐭と呼ぶようになった😅
そして、ねずみ先生に任せれば、LANAの病気はきっと治る!
そう信じて疑わなかったのである…。
To be continued......