ねずみ先生の告白。
LANAの手術は、打つ手なしという結果に終わり、仕切り直し。
癌の腫瘍は切除できないほど肥大化していて、止む無く切開したお腹を閉じたのである。無念だったのは、私よりも森下動物病院の院長先生だ。
執念で突き止めたLANAの大腸癌と対峙しながら、何もできなかったのである。
LANA退院の日。
診察室に入ると、すでに私の声を聞きつけたLANAが、大きな声で鳴いているのが聞こえる。
「はい、ラナちゃん、お家に帰ろうね」
先生が抱っこして連れてきて、診察台に乗せると、LANAはまん丸の目を見開いて
ミャ〜〜〜😡ミャ〜〜〜😡と、私の顔を見ながら立て続けに鳴いた。
キャリーのジッパーを開けると、ピュ〜と自分から中に入った。
今後の治療について、先生が話し始めた。
それは、漢方薬での投薬治療だった。
当時、人間の癌にも効くと評判だったアガリクス茸。
これが猫用にも調合されているというのである。
私は以前から漢方には親しんでおり、現に自分の病気にも効いていた。
猫にも漢方薬があったとは、その時初めて知った。
今では、かなりポピュラーな治療法になっているが、20年前はまだまだ浸透していなかったと思う。
「ちょっと高くつくお薬ですが、試してみる価値はあると思います」
私は二つ返事で承諾した。
LANAの病気が治るのであれば、どんなに高くても問題ではない。そう思った。
「それと…。最初の診察の時ですね…」
院長先生は、静かに話し始めた。
「あの時、ラナちゃんのお腹を触った時、あれ?っと思ったんですよ。でも、レントゲンにも写らなかったし、エコー検査でも。気のせいだと思ってました。しかし、あれが癌だったんですね。あの時、私がもっと早く気づいていれば、もっと早く治療できたのに、と悔やまれて仕方ありません…」
院長先生は、少し涙ぐんでいるように見えた。
私は驚きとともに、この真摯な態度に、感動すら覚えたのである。
患者にここまで正直に言う医者はいないはずだ。
そう、あの時のことを私も覚えている。
先生がLANAを触診した時、「うん?」と言って首を傾けたのだ。
レントゲンにも写らなかった、まだ小さかった腫瘍を見つけていた。
それこそが、まさに医者としての経験値のなせる技だと思った。
検査で何も出ないからと、それ以上の診察を放棄したあの女医とは雲泥の差である。
おそらくはこの患者からは診療費を見込めないと思ったに違いない。
だから、あの病院は大型犬だけを特別扱いしていたのである。
いや、もういい。あの女医のことを思い出すとヘドが出る。
この日、先生の真摯な告白に感謝して、私はLANAを連れて家に帰った。
玄関でキャリーのジッパーを開けた途端、LANAはミャっと小さく鳴いて、ズンズンと真っ直ぐキッチンに向かった。
プリプリとおしりを振りながら、怒りをあらわにしているようだった。
そして、真っ先にご飯のお茶碗が並んでる場所に行ったのである!
ミャ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜😡
(早くご飯出して😡)
手術をした後とは思えないほどの元気さ😳
さぁ、今日から漢方薬を飲んで、しっかりがんばろうね!
その後、漢方薬はLANAの体に合ってるようで、めきめきと回復したのである🙌
嘔吐も下痢もしなくなり、何でも食べられるようになった。
先生から、食べたいものを食べさせて良しと許可が出たので、好きなものを食べたいだけ食べさせた😃
事実、癌の腫瘍の成長は止まり、むしろ小さくなっていた。
漢方治療で、癌の腫瘍が消えてしまった猫の報告もネットで見つけた。
私は、LANAの病気がこのまま完治することを信じて疑わなかったのである…。
To be continued.....