2022年6月末。
姉が緊急入院した。
5月に母が退院して、ようやく落ち着いた生活に戻った矢先の出来事だった。
姉は、父が他界した2020年の春から体調を崩したので、私は定期的に実家に様子を見に行っていた。しかし、精神的なダメージがひどく、悪化するばかりだった。
独り暮らしのため、保健所の担当者が訪問して様子を見ていたのだが、入院させた方がいいのではないかと提案されていたところだった。
私は、姉が入院したとの連絡を受け、入院に必要なものをとりあえず発送して2日後に病院に行くことにした。
コロナ対策はまだ続いていたので、本人に会うことはできず、電話で話すのみ。
面と向かって話ができないので、顔色もわからない。
母の入院で少し慣れていたので、仕方ないと諦める余裕があった。
姉は統合失調症を発症して、その治療のための入院だった。
とにかく入院は、本人にとってすべてが不便。
そのストレスが、私に向かってくるのである。
姉が指定するものを、私は毎週のように買い込み宅急便で送る。
月1で病院に行き、必要なものを聞いて買い出しに行き、差し入れをする。
そんな毎日の繰り返しだった。
入院は3ヶ月に及んだ。
その間、私は他のことをあまり覚えていない。
たった1年前の事なのに、覚えているのはいつも雨が降っていたことくらい。
三重の実家に帰ると、必ずと大雨だった。
バス停から病院まで10分くらい歩くのだが、サンダルがびっしょり。
そして、ホテルで乾かす。
翌日は、刺すような太陽の光の中、また病院へ。
2022年は、母と姉の入院で暮れていったように思う。
還暦前の私に、予行演習のような家族の入院騒ぎ。
病院にはほとんど行かない私にとって、学ぶことはたくさんあった。
おそらく、私が二人を看取ることになるのだから、心の準備をしろと、神さまの計らいだったのかもしれない。
姉が退院した10月半ば、私はふと小学生の頃に夢中になった漫画のことを思い出した。
「ベルサイユのばら」
この還暦ブログを始めたきっかけの漫画だ。
母と姉の入院をきっかけに、私は昔の母と姉を思い出していた。
セピア色の思い出の数々。
楽しいことも悲しいことも苦しいことも、溢れ出てくる。
そんな思い出たちを、忘れてしまう前に残しておきたい。
私はキーボードを打ち続けたのだ。
家族の病気をきっかけに自分の人生を振り返り、2022年は暮れていったのである…。
To be continued……