2013年10月。
サンスター文具株式会社は、バンダイナムコホールディングスの小会社である、玩具大手バンダイを引受先とする第三者割当増資を行い、バンダイの子会社としてバンダイナムコグループの連結子会社になった。増資後の新資本金は1億300万円、バンダイが51%、サンスターホールディングスが49%の出資比率。
さらに、2013年10月21日。サンスター文具株式会社とショウワノート株式会社が合併、幅広いアジア市場(香港、台湾、中国、東南アジア)で展開するために「キャラポート」を設立。香港を拠点に展開すると発表。
こうして、キャラポートで展開するキャラクターとして、マカマカは『香港国際ライセンシングショー』へ参加することになったのである。
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当初のマカマカ担当だったY氏から連絡があったのは、11月も半ばを過ぎた頃だった。
私は、Y氏と喫茶店で待ち合わせて、詳しい事情を聞いた。
「今回、香港に行く人間はバンダイかショウワノート出身で、マカマカのことを知っている人間が誰もいないんだよ」
「Yさんは香港行かないんですか?」
「僕はもう営業から離れてしまったし、来年、定年だから」
「そうなんですか。神尾さんも行かないんですよね」
「うん…。もう、昔のサンスターじゃなくなったからね」
「わかりました! 私、行きますよ。だって、マカマカを放っておくことできないし、YouTubeの動画も紹介できるし」
「でもさ、経費出ないよ。それでも行く?」
「大丈夫です!何とかしますよ。お金なんてどうにでもなりますから」
「わかった。そしたら、倉庫にあるマカマカのぬいぐるみとか看板とか全部香港に送るから」
マカマカが生まれた会社は、もう存在しない。
名前は残っていても、マカマカがなぜ生まれたのか、マカマカがどんな歴史をたどったのか、どんなストーリーだったのか、それらを知る人は誰もいなくなったのだ。会社を運営していくことの厳しさ、身につまされる思いだった。
せめて、マカマカを大事に育てた人間が一人でも現場に居て欲しい。
Y氏の思いが、痛いほどわかったのだ。
マカマカ誕生ストーリーは、以前にも書いたが、産みの苦しみがあって、ようやく完成したのだ。
こうして私は、派遣社員で仕事をしながら、スーパーのバイトをして、出発までの1ヶ月弱で、配布するチラシ、動画のデータ化、紹介カードを制作をした。
香港へ行くための経費を調達するために、記者時代の師匠に連絡して、マカマカへの出資金を調達した。
『香港国際ライセンシングショー』は、アジアで最高にして最大のライセンシング・プラットフォームと言われている。100の国と地域から1万7,000名を超える来場者を誇る展示会(2014年当時)。世界の人にマカマカを見てもらえるならば、どんなことでもやってやる! こんな嬉しいことはない! 私は忙しくて倒れそうになっても、マカマカを、魅力的に紹介する方法を考えていた。
明けて2014年。
正月返上で、準備に明け暮れた私。
たった3泊4日のことではあるが、初めての香港だ。どんな街だろうかと思いを馳せた。
そして、1月6日の早朝、私は成田空港へと向かったのである…。
To be continued….