第4回
うららかな春の予感
2004年2月10日(横浜駅西口 某ハンバーガーショップにて)
暖かな日差しが心地よい。暦の上ではもう春。
私は研究生の田中秀敏君、大橋麻衣さんの二人とワークショップ案の打ち合わせのため横浜へ向かった。前回説明会に来られなかった研究生大橋麻衣さんとは初めてだ。
田中君は春日ゼミの研究生では紅一点、ではなく黒一点だ。
スラリとした長身に革のパンツをはいた出で立ちとはアンバランスな童顔で、なかなかの好青年。今回の企画に積極的に参加してくれて、研究生たちをまとめるリーダー的存在でもある。大橋さんは美術教師を目指すちょっとアンニュイな感じの女の子。
企画展の話をもっと詳しく聞きたいということで来てくれた。
ワークショップの検討のミーティングだったのだが、田中くんが突然、話を切り出す。
「研究生たちと話してたことがあるんですけどね、実はちょっと不安なことがあるんです……」
えっ!? 何よ、不安なことって。
「レプリカ製作のことなんです。先生は2日でできる、とかって話してましたけど、絶対無理だと思うんですよ。“先生”なら2日でできるっていう意味で、ゼミ生には無理でしょう。こういう立体を製作すること自体、初めての人もいるわけだし、道具を使うのも初めてだと思うし、設計図からどうやって作っていけばいいのか、一から考えなきゃいけないでしょ?」
そういうことか。それはまったく気がつかなかった。様々な専攻の学生がゼミに集まるわけで、モノづくりが初めての学生もいる。
説明会の時の学生たちの不安気な表情は、それだったのか。
「それで、僕ら研究生がまず最初に一つ試作品を作ろう、ということになったんです。まずは材料がどのくらい必要なのか、予算、日数、作業工程とか、やってみないとわかんないことばっかりだから」
まったくその通りである。この冷静な判断に頭が下がる思いだった。
そして、試作品として「サイくん」を製作することに決定。大橋さんは「きょうりゅうくん」がお気に入りだったが、却下🥹
難易度でいくと「イグアナくん」もボツ(研究生が製作するには簡単すぎるらしい)。
「テクテクかばさん」は加藤が書いた設計図があまりにずさんなため却下……。
さて、特大レプリカ・造形大春日ゼミの研究生製作「サイくん」は、どんな作品になるのか、乞うご期待!
To be continued……