2006年3月に出版した「マカマカの地球歩き マカマカロシアへ行く」が完成に近づいた頃、私はすでに第2弾の構想を練っていた。
当初からシリーズ本として10巻まで出版する予定だったからだ。
テーマは、世界中に生息する絶滅危惧種の動物を、子どもたちに知ってもらうこと。
そしてこれは私が20代の頃からライフワークとして取り組んできたテーマでもある。
2006年は、4月に横須賀に引越し、会社設立、セコム専属キャラクター「白いおばけのスー」のキャンペーン企画が、次々となだれこんできて、第2弾制作と同時進行でこなしていた。しかし、何としても7月、夏休み前に出版したかった。
なぜなら、
絵本の舞台は、「南極」だからである。
え? 南極が舞台だと、なんで7月に出版したいの?
だから、なんとなく涼しげだから…ね🤣🤣🤣
いやそうではなく、本当の理由はこれ。
サンスター文具株式会社のマカマカ担当部長のY氏の依頼で、第2弾はペンギンのストーリーで、と言われたのだ。
夏だからペンギンのキャラクター。
シンプルだが、気を衒ったストーリーよりも安心感がある。
「マカマカ ロシアへ行く」では、地球上に30頭と言われていた(現在では約80頭まで増えている)ロシアに生息するアムールヒョウがサブキャラクターだった。もちろん、この稀有な美しい動物を子どもたちに紹介することは重要だったと自負している。
だから第2弾は、身近でありながら絶滅危惧種であることをあまり知られていない、ペンギンを登場させることに意義があると思ったのである。
そして、もっと楽しく、もっと冒険して、自然環境と動物の関係性を伝えたい。
おりしも、この年は「日本南極観測50周年」にあたり、夏休みにイベントが開催された。
会場では、ペンギングッズの販売も予定されていたし、ここでサンスター文具の商品、絵本を展開させてもらうことも視野にいれた。
ペンギンは全18種のうちの10種が絶滅危惧種に指定されているのである。身近な動物だけに、この事実を知らない人も多い。
絶滅危惧種に指定された主な原因は、100%人間だ。
2000年過ぎ頃からの温暖化現象で、海温が1〜2度上昇、しかしこれだけで海の生物が劇的に変化し、ペンギンの餌となる魚が激減。よってペンギンの生息数も減る。それだけではなく、人間の乱獲が原因のペンギンもいる。タンカー事故で石油が海に流出、羽にへばりつく油で命を落とすペンギン、さらには海に廃棄されたプラスチックなどの誤飲で死に至るケースも増加している。
海の変化は、ストレートにペンギンたちの生死に関わるのだ。
しかし、人間たちの極悪非道🥲ぶりを全面に出しても、あまりにも救いがない。
冒険とユーモアと、生命力と希望と。
そんなストーリーを描きたかった。
そこで白羽の矢を立てたのが「ゴールデンライオンタマリン」である。
彼の登場で、笑いと涙のエッセンスを散りばめることができると思ったのだ。
見た目も性格も可愛い、家族思いの団結力のある動物。
またしても主人公・マカマカの地位を脅かす人気キャラクターだ!
役者は揃った。
あとは私がマカマカの旅のコースを決めて、準備完了だ!
物語は、ロシアの港から始まる。
港を歩くマカマカは、いきなり極悪非道の人間たちに誘拐され…。
船に乗せられ、嵐に遭遇、竜巻に飲み込まれて、遠い場所へと飛ばされていく…。
続きは本を読んでいただけたら嬉しい。
これもすでに絶版になっているので、図書館や古本で読めると思うが、次回ちょっぴり原画を公開しよう。
破茶滅茶なストーリーと美しい風景の中のペンギンたちと旅するマカマカ。
特徴を見事に捉えたペンギンの姿と自然豊かな風景画が、ペンギン写真家・鎌倉文也氏にも絶賛された。
神尾氏がキャラクター作家の域を超えた、素晴らしいアーティストであることを証明した絵本でもあった。
17年前の今日、2006年7月1日。
マカマカの地球歩き2 マカマカ南極へ行く 出版。もう、17年も経ってしまったのね。
書店営業で配布した、神尾氏が制作したオリジナルPOPが懐かしい!
なぜか、マカマカのぬいぐるみが頭を突っ込んでいるPOP🤣
私は書店を営業で回りながら、同時にマカマカのイベント企画も提案していた。
絵本の世界からマカマカは、さらに大きな世界へと飛び出していくことになる…。
To be continued……