BONO
前回のコラム☆Memoriesで、U2の話題をまとめて紹介した。
3月17日に新譜「Songs Of Surrender」が届いてから、購入したBONOの書籍もまとめて紹介しようと思ったが、翻訳本の「インタヴューズ」を少し読み始めて気が変わった。新譜とまとめて紹介なんて無理だと思ったのだ。
未翻訳の「SURRENDER」に関しては、もっと無理。英語を読むのも大変なんだけど、やっぱり内容がHeavy 。
まずは、翻訳本のインタヴューズについて、書きたいと思った次第。
ボノによる序文抜粋。
アリ(ボノの奥さん)は、僕が独りでいないで、複雑だった幼年期について誰かに話すべきだと言っている。彼女が言うには、僕は何かについて怒っているそうだ。彼女自身の怒りを恐れて、僕はそのことをはなすべきかどうか真剣に考えたのだが、自分は忙しすぎるという結論をだした。
君、ミーシュカ・アサイアス(著者)が僕の様々な人生の家を振り返って覗き、部屋を整頓する機会を与えてくれた。
ボノは、14歳の時に母親を亡くし、父、兄と男3人で育った。
2014年リリースのアルバム「Songs of innocence 」の1曲「Iris」は、ボノが自身の母の想いを曲にしたもの。
ボノが母を亡くして40年経って、ようやく向き合うことができたように思える、この美しい曲は、涙なくしては聴けない。
これは、2016年パリでのコンサートの映像だ。私はこの映像を数年前に見た時、涙が止まらなかった。会場で映し出されるのは、ボノの母親の実際の映像だ。40年もずっと胸に留めていた想いをようやく解放することができたのか、と。
Hold me close
Hold me close and don't let me go
Hold me close
Like I'm someone that you might know
Hold me close
The darkness just lets us see
Who we are I've got your life inside of me
Iris, Iris
と、ステージで歌う54歳のボノの姿に、私は17歳のNの面影を重ねていた。
Nも子どもの頃に母と別れている。
父の後妻つまりは継母を「あの人」としか呼べないNが不憫で哀しくて。
そして、私たちは本物の家族を作ろうと未来を見ていた。
私は、Nがどれほど実母を慕っていたかはわからないが、ボノのこの曲を聴いた時に、母を亡くしたボノの心の怒りやジレンマやどうにもできない心情が、17歳のNを見ているようで、私は無意識のうちにボノに惹かれていったのだと、今、わかった。
以前のコラム☆Memories 1 で、ボノの若い頃の顔がNと似ているから、ボノのファンになったのだと納得していたが、それだけではなかったのだ。
同じ匂い。
そう、私の心の嗅覚が反応したに違いない。
BONOインタヴューズを少し読み始めて、気づいた話。
本の感想というより、あまりにもプライベート過ぎる話だが、ボノやNや私のように、親との関係性が崩壊してしまった思春期を通過した人には、きっと身近に感じられる本ではないかと思う。
U2の素晴らしい数々の楽曲の根底には、人を救う力がある。
少なくとも、私は救われた…。