マカマカシリーズ 第3巻 出版。
2007年6月。
マカマカ絵本シリーズの第3巻が完成した。
マカマカ タスマニアへ行く マカマカの地球歩き3
第2巻の「マカマカ南極へ行く」を出版後、約1年後のことだった。
本来ならもっと短いスパンで出版したかったが、他にも出版企画を抱えていたり、一緒に会社を設立したHILOKO氏が妊娠したことをきっかけに一旦会社を休眠することにして、私はあらためて自分の会社を設立した。
そのため、2007年は「白いおばけのスー」の第2弾出版や、イベント企画で、マカマカ絵本の制作に着手できなかったのである。
しかし、構想はすでにできていたので、あとは神尾氏が描くための資料集めだけだった。
「マカマカ南極へ行く」のストーリーは、ロシアから船でオーストラリアへ向かうはずだったのに、嵐と竜巻に襲われニュージーランドへ。そして、絶滅危惧種のイエローアイドペンギンに出会い、花嫁探しの旅に出る。海を泳いで南極大陸に到着する。
結局、花嫁は見つからなかったので、流氷に乗ってニュージーランドへ戻ってみると、花嫁が待っていた、という結末。
そして、一緒に船に乗っていたロシアサーカス団の面々とも再会を果たし、あらためてオーストラリアに向かう。
第3巻「マカマカ タスマニアへ行く」では、オーストラリアに到着したところから始まる。
このストーリーは、10巻制作する予定だった絵本シリーズの中で、最初の山場となる絵本だった。
私が、20代の頃に絶滅危惧種の動物たちに思いを馳せたきっかけとなる動物・タスマニアンタイガーが主人公になるのだ。
すでに、絶滅したと言われているタスマニアンタイガーは1980年代に多くの発見情報が寄せられていた。
まだどこかで生きているかもしれない、という興味をそそる新聞記事、さらには映画も制作された。
しかも、タスマニアンタイガーは、オーストラリア大陸特有の有袋類の頂点だ。
トラのような背中の縞模様、カンガルーのような太い尻尾、さらには巨大な顎と牙。
それなのに、つぶらな瞳が愛らしい表情を作る、なんとも不思議な生き物なのである。
しかし、絶滅の道を辿るのは、いつものごとく100%人間が原因である。
タスマニア島に移住してきた人間たちが営む牧場の羊たちを襲うタスマニアンタイガー捕獲に賞金まで付けたため、あっという間に絶滅の一途を辿ったのである。
そして、1936年9月7日、タスマニア州ホバート動物園で、最後の1頭が死んだ。
ベンジャミンと名付けられていたこの1頭は、映像にも残っている。
人間たちはあとから気づくのだ、愚かだったことを。
私は、タスマニアンタイガーがどこかで生きていてくれたら、でも人間に姿を見られないように、ひっそりと生きていてほしい。
そんな願いを込めて「マカマカ タスマニアへ行く」のストーリーを書いた。
例の如く重いテーマだけに神尾氏の筆の力で、明るく楽しく、を表現してもらいたくて、ロシアサーカス団のサーカスの風景をとりいれることにしたのである。
サーカス。
人間が動物を虐待していると批判的なことも鑑みて、絵本の中では、動物の動物のためだけのサーカスを開催することにした。
私はこのシーンが大好きだ。
色とりどりのサーカスの楽しさが溢れていて、実は、こんなサーカス団がいるのではないか?と思ったほどである。
「マカマカ タスマニアへ行く」を制作するために、思い出深かったのは、タスマニアの風景の資料を探すにあたり、オーストラリア大使館内の図書館に出向いたことだった。
日本で出版されている書籍や写真集では足りなかったこともあり、オーストラリア大使館に図書館があることを知った。
そこで、神尾氏と二人で図書館に行って、膨大な数のコピーをとり、また数冊借りて資料としたのである。
第3巻までの出版で、区切りがついた感のあった「マカマカの地球歩き」シリーズ。しかし、もう一つ、別企画が進行していたのである…。
To be conitued….