2007年、冬。
お嬢DONは寝たきりだったが、通院して点滴を続けていた。
調子が良ければ週3回。悪くなれば毎日。その繰り返しだった。
部屋のホットカーペットとオイルヒーターは24時間稼働。それでも、DONの脚は冷えてしまうので、小さいブランケットをかけて、ペットボトルにお湯を入れた湯たんぽで温めた。
ところがDONは、なぜか、これが気に入らなかった😤
いつの間にか蹴飛ばして、遠くへ転がしてしまう。
寝たきりなのに、キックする力は強いのだ。
しかも、私の前では決してやらないのだ。
「ドンちゃん、ダメだよ、蹴飛ばしたら」
「にゃーん」(私、蹴飛ばしたりしてないもん)
と言わんばかりに可愛く甘えた顔で言う。
まるで子猫の時のような可愛さで甘える。
ペットボトルの湯たんぽが使えないので、今度はお猿の顔の細長いぬいぐるみを、脚にそえるようにしてみた。
これだったら、ふわふわしていて違和感ないだろうと思ったが…。
やっぱり、これも蹴飛ばしてある!
しかも、ペットボトルよりも軽いので、遠くの方まで転がるのだ!
まったく、すごいキックの力だ!
相変わらず、病院での点滴の時も威嚇しまくっていた。
巻き舌でドスの効いた声、私でさえ怖いと思うのだから、待合室の他の子たちはどんなに恐ろしかったことか😱
「怒る元気があるから、まだまだ大丈夫ですね」
と、先生は言った。本当にそうであってほしいと願った。
そして、春。
DONの誕生日は3月1日。
恒例のピンクのウェアを着せての記念撮影だ!
この年のウェアはちょっとカッコいいラメが入ったショッキングピンクのTシャツだったが、写真が見つからない。
この時も不本意ながら😂、素直に着てくれて本当に可愛かったんだけどな〜🥲
見つかったら、またここで紹介したい。
お嬢DON、21歳!
うちでは誰も到達できなかった、20歳の大台をはるかに超えて21歳!
寝たきりなのは仕方ないが、それでもキラキラした目はまだまだ大丈夫と思わせた。
しかし…。
お誕生日を迎えて4日くらい経った頃から、食欲がなくなった。
いつものように首にティッシュの前掛けをすると、「ごはん、ごはん」と目をキラキラさせるのだが、一口食べて、「もう、いらない」と、顔をそむけるのである。
覚悟しなければならない、私は思った。
DONは、すでに覚悟しているに違いないのである。
そして、みつ子も…。
2007年3月8日。
お昼少し前の、暖かな光の中で、お嬢DONは旅立った。
誕生日を迎えて、ちょうど1週間。
お嬢らしい、静かな最後だった…。
To be coninued….