REXシーズン8-11
第11話「不審な転落死」 Sein Letzter Sonntag（原題）
Servus! 皆さん。
前回の「なにコレ？」エピソードを挽回するかのごとく、今回は心に残った一本。
マーク編ランキングでは確実に上位に入ると思われる（笑）ストーリーだったよ。
前回の流れのままラストに突き進んでしまったらどうしようか…と心配したんだけど、挽回の仕方が極端よ。アップダウンが激しくてちょっぴり疲れます（爆）
まず、全体のバランスが良かった。
流れるテーマは現代社会の歪みで翻弄される人々を描き、重い空気が流れてるけど適度に笑わせるシーンを散りばめることで、重くなり過ぎてない。
そして、刑事ドラマとしても見応えがあり、殺人を巡る人間関係、背景描写がうまかった。
被害者の人間性が粗悪だったことで、犯人の境遇や心理に共感し観る側の心を打つ。
さらにREXの繊細な演技に涙が溢れ、エンディングシーンはさながらヌーヴェルヴァーグの作品のように美しかった。
こんな感動的なエピソードが書ける脚本家がいるのに、どうして前回は「なにコレ？」エピソードになっちゃうのか、REXドラマの永遠の謎…。
さて、最初に一つ触れたいのが、いつものごとく日本語タイトルのこと。
今回の原題「Sein Letzter Sonntag」は、そのまま訳すと「最後の日曜日」。
「不審な転落死」ってさ…、どうしてこうなっちゃうのかな…。
英語タイトルも「The last sunday」になってるのにね。
今回のストーリーは「最後の日曜日」のタイトルがピッタリなんですよ。
被害者が殺された日、それが日曜日。だから、最後の日曜日なんだよ。
そして事件発生から犯人逮捕まで（おそらく）次の月曜の朝までの出来事。
マークたちも徹夜して捜査してる。
早朝、街灯の明かりが消えて「日曜日が終わる…」と視覚的に描写してるシーンがあり、見事だな…と感心した。
だから、洒落たタイトルだと思ってたのに、日本語タイトルのセンスのなさには毎度のごとくまいっちゃうね。
事件は、高級老人ホームに入居していた老人が転落死したことから始まる。
その日は、面会日の日曜日。被害者の息子とその妻が面会に来ていた。
老人ホームの敷地内の公園で３人は被害者と同居する相談をして、２人とも早々に帰って行った。その後、部屋に戻った被害者が、飼っていたインコのカゴをベランダに出そうとしたとき、何者かに襲われ、転落死したのだった…。
さてと。
久々にREX＆マークの朝の風景が登場したよ！
お約束もきっちり描いてる。だからこそバランスがいいのよ。無駄がない！
しかし、なんでしょうかね…これ…。
マーク、文学青年の影も形もありません！
ハイテクな装置を使って筋トレ！
足に凄いモノを装着してぶら下がり、ダンベルで鍛えるという。いや～、すごいね。
ダンベルを持とうとしたら、手が届かなかったのでREXが鼻でちょんと転がしてあげるのね。
これはお約束として後のシーンで出てきますよ！
そこにフリッツから事件発生の電話だ。
「日曜の朝っぱらから殺人事件かよ…」
現場検証をするマーク達、老人相手だと事情聴取も簡単にはいかないよね（笑）
ああでもない、こうでもない、と全く関係ない話も出てきたり、「犯人を見た」という証言も、どれもこれも曖昧でこりゃ大変だぞ…と。
そこに浮上するが、車椅子の老人・フェルバー。
フェルバーは車椅子と言えどもバスケットで鍛えるスポーツマン。過去には登山家だった。そして被害者とは登山仲間であり、２人で一人の女性を争い、被害者の卑劣な手段で彼女を奪われた過去がある。
偶然にも同じ老人ホームに入居してしまい、２人が犬猿の仲だったことは誰もが知る事実。被害者に殺意を抱く理由がいくつもある。しかも体力十分。
マークとREXはフェルバーに話を聞きに体育館へ向かう。
フェルバーは、マークの質問に含みを持った返答しかしない。
状況から考えると有力な容疑者と言えるのだが、この時のREXの顔が、彼が犯人ではないことを物語るのだ。過去のエピソードにも時々出てきたのだが、REXは本能的に判断するんだね。
刑事達はあらゆる証拠、動機などを総合的に判断するが、REXは違う。
人間の悲しみや絶望感を一心に受け止める。それがたとえ犯人だとしても、だ。
Rhett君のその表情が秀逸で、フェルバーの悲しみが際だつんだよね…。
マークが体育館から出ようとすると、REXは名残惜しそうに佇んでいる。
そして、コートの中に入り転がるボールを鼻でちょんと転がし車椅子の選手に渡すんだね。朝のお約束がここで登場でした。
地味な登場だったけど、暖かな気持ちになったシーンだ。
捜査を進めるうちに、被害者は転落させられる前に作業手袋をした手で殴られていたことがわかる。そこで浮上したのが造園業をしていた息子。
息子が働く生花店のトラックの中にあった作業手袋をREXが発見。
息子はマーク達の顔を見るやいなや、走り出した。マーク、ニキ、REXは三方に別れて息子を追跡。いつものごとくREXの追跡で、息子を確保。
しかし、息子は父親が殺されたと聞いて、愕然とする…。
マークたちから逃げた理由は、借金がらみだと勘違いしたからだった。
ここまできて有力な容疑者二人は、犯人ではないことがわかるのだが、一体誰が…。
息子の供述から作業手袋はもう一組あることが判明。
しかしREXが見つけた作業手袋は一つ。しかも鑑識の結果、この作業手袋は犯行に使われたものではなかった…。
最後に残った有力な容疑者とは…。
その頃、フェルバーは被害者の息子の妻・エリカに電話をかけていた。
そして、フェルバーは殺人課にも電話をかけ、自分が殺したと自白するのだ…。
エリカは移動介護士として、高齢者の介護を仕事としていた。
しかし、夫が事業に失敗したため、高級老人ホームの費用が払えずに被害者と同居することになっていたのだ。
さらに夫は、ギャンブル、借金とトラブルを抱えた上、エリカに暴力を振るうようになっていたのだ。
毎日他人の介護をした上、家に帰れば夫の暴力、義父が同居となれば、自宅でも介護の日々が続く…。
マークはエリカの話を聞きながら、彼女が犯人だと確信する。
そしてREXは、エリカの苦しみと悲しみを受け止める…。
ストレスの極限に達したエリカは、義父を殺害、夫を犯人に仕立てようとしたんだね。
フェルバーは殺害の一部始終を見ていた。
エリカの苦しみを痛いほど理解したフェルバーは、自分が癌に冒され、先が長くないこともあり、エリカの身代わりになろうとしたのである。
しかし、もう一組の作業手袋が発見され鑑識で捜査、エリカの血液が手袋に付着していたことで、動かぬ証拠ができてしまった。
マークとREXはエリカ逮捕に向かうが、エリカは窓から逃亡！
銃を持ち車修理工場の中庭に立て籠もる。
マークとREXは二手に分かれ、エリカに近づく。
エリカはマークの姿を発見するやいなや、銃をこめかみに突き立てた！
マークは銃を置き、エリカを必死に説得する…。
一方REXはエリカの背後に回り、彼女に気づかれぬようにと車の廃材（？）の中に隠れ彼女に近づく！
REXかぶり物シリーズ・第３弾ですね（笑）
第１弾は、もちろんあのダンボール！：シーズン８第4話「病院の闇」
第２弾は、ワニの着ぐるみ：シーズン8 第5話「欲望の渦」
そして、今回のこれです！
見た目は鉄だよね～？ 適度に錆びてていい感じのオブジェというか（笑）
実際はゴムか何かで出来てると思うけど、何ともいい感じの形なのよ！
この緊張感溢れるシーンで、思わず「ぷっ」と笑わせるのって、シーズン４第6話「奪われた宝物」のREXお相撲さん顔に匹敵するシーンだ！
マークの必死の説得に、エリカは泣きながら銃を下ろす…。
そしてREXが、エリカの手から優しく銃を奪うのだった。
マークは、泣き崩れるエリカの肩を抱いて連行する…。
その２人の後ろ姿を見つめるREX。
カメラはREXの表情をローアングルで捉える！
エリカの悲しくて辛くてどうしようもない心境を一心に受け止め心が張り裂けそうだ。
エリカを思いやる寛容で優しい表情とやりきれない事件への憤り、その複雑な思いを
Rhett君が見事に表現したエンディングのシーン。
REXが振り向きざまにエリカの背中を見つめるシーンをスローで撮影してるんだけど、
REXの背景に映るレトロな車とREXのバランスが素晴らしい！
この秀逸な光景、私は涙が溢れてきました。
エンディングシーンで、REXがピンで終わるのは初めてじゃないのかな…。
Rhett君の表情が、ストーリーのエンディングを雄弁に語っていたので、もうこれしかない！って感じで編集したようにも思えるんだよね。
ホントは別のエンディングシーンが脚本にはあったんだけど編集してたら、あまりにも感動的だったから、これをエンディングにしようっていう流れのような…。
個人的な想像ですけど、それほど珍しいエンディングだったよね…。
このエンディングシーンのRhett君、部門別ランキングでは一押しです！
何というのかRhett君の特徴って、一発の表情よね。
Reginald君（BJ君）は、流れが完璧ですべてに無駄がないんだけど、Rhett君は一発で光り輝くすごいスター性を持ってるよね。美しい…。
あ～、このエンディングの写真がネットで見つからないのですよ！
私だけが感動してるのかな…、このRhett君の顔（笑）
見つけたらぜひご紹介したい、涙のエンディングシーンです！
あと数本でRhett君が降板というのも惜しいね。
ここにきてRhett君実力発揮って感じがしてるのにね。
あ～、久々に語ってしまったエピソード！
マーク編では超珍しい！
他にもいろいろ見どころありましたけど（笑）皆さんのコメントお待ちしてます！
フリッツ＆トカゲのコンビも可愛かった（笑）見たことある俳優さんもいっぱい出てました！
さて、次回はいよいよ終盤戦よ！
