R.I.P. Mitsuko 17th April 2014
2014年4月17日 みつ子永眠 推定21歳。
みつ子の亡骸を白い箱に入れて、私はつだ動物病院の待合室で、母が来るのを待っていた。
母は80歳、杖をつかないと歩けない状態だ。近所のNさんが親切にも車を出してくれて一緒にかけつけてくれた。
母は開口一番、
「普通に家を出て行った子が、死んで家に帰るなんて…」
絶望して、箱の中のみつ子を見つめた。
みつ子は特発性てんかんを発症する前から、心臓肥大の疾患があった。
それは吉祥寺のおおむら動物病院で診察をした時に発覚したことだった。
しかし、日常生活は問題なく普通に生活できる程度だったので、それほど気にも留めていなかった。つだ動物病院でもレントゲンを撮り、心臓肥大は記録されている。
カルテを見れば、一目瞭然だ。
検査・診断 レントゲン検査で、肺に液体が溜まっている所見が認められます。 レントゲン検査と同時に身体検査やエコー検査、血液検査も行うことが望ましいですが、肺水腫は緊急を要することが多い疾患のため、状態が悪い時には無理に検査を行わず、治療を優先することも少なくありません。
猫の肺水腫は、心臓病が原因で起きる「心原性肺水腫」と、心臓病以外が原因で起きる「非心原性肺水腫」の2つに分けられます。猫の肺水腫は、心筋症などの心臓病が原因の「心原性肺水腫」が多いです。（電話動物病院アニクリ24 より抜粋）
みつ子の場合、心臓肥大で肺に水が溜まり、緊急を要する治療が必要だったのだ。
4月16日の院長の奥さんが診察した段階で、カルテを見れば肺水腫であることがわかったはずである。しかし、彼女は獣医として復帰間もないことで、その判断ができなかった。そのため点滴の治療をして悪化させる。
翌17日には、経験の浅い若い女がレントゲン検査に固執し、みつ子の病状を一気に悪化させ、死に至らしめた。
さらにその日、担当医の女医が在籍していたにもかかわらず、他の患畜を優先していたことで、最悪の結果を招いた。
吉祥寺のおおむら動物病院で、みつ子の娘のみつあかを連れていった時、他の犬や猫が待合室に大勢いたにもかかわらず、おおむら院長は急患であることを皆に説明して、みつあかを真っ先に診てくれた。そして、最後までつきっきりで対応してくれたのだ。
船橋の森下動物病院の森下院長は、LANAの大腸癌を、初診の触診だけで発見していた。しかし、触診に頼らずありとあらゆる検査を行い、結果を得たのだった。しかしすでに癌細胞は肥大していて、切除することができなかったが、その後の適切な投薬治療の甲斐あり、LANAは穏やかな最後を迎えたのだった。
みつ子は、わが家の最後の猫だった。
みつ子が逝ってしまってから、私と母の会話がなくなった。
私たちは、長年、猫のことしか話題がなかったのだ。
そして、私はみつ子の最期を語ることもしなかった。
辛すぎて、言葉にできなかったからだ。
私は毎日、みつ子が私の目をまっすぐに見て、手を伸ばして叫んだ姿を思い出していた。あの時、みつ子はこう叫んでいたのだ。
ここの人間を信用しないで！
みつ子の判断は間違っていなかった。
その叫びを聞かずに、あの女に託した私。
人生最大最悪な決断をした私。
つだ動物病院より、私の罪はもっと重い。
みつ子を思う時、私の頭の中でこの曲が流れる。
Lenny Kravitz：Calling all Angels
Calling all angels
I need you near to the ground
I miss you dearly
Can you hear me on your cloud?
All of my life
I've been waiting for someone to love
All of my life
I've been waiting for something to love
Calling all angels
I need you near to the ground
I have been kneeling
And praying to hear a sound
All of my life
I've been waiting for someone to love
All of my life
I've been waiting for something to love
Day by day
Through the years
Make my way
Day by day
Through the years
Make my way
2014年4月17日。
この日から、私は大罪を背負ってどん底へと落ちていく毎日が始まった…。
It ain’t over ‘til it’s over （完）
