みつ子、大量出血!
これは、猫と一緒に暮らして15年以上過ぎた頃の出来事である。
私はこれまで6匹の猫たち、LANAの赤ちゃんも入れると9匹の猫たちと暮らしてきた。
しかし、いつでも困惑するのがケガや病気の時だ。
彼らは、どこが痛いのか具合が悪いのか、具体的に伝えてくれない。
いつだって、困惑してしまう。
特に、こんなときは……。
2000年1月、夜。
みつ子が口から大量の血を吐いて、うつ伏せになっていた。
みつあかの診察をしてくれたおおむら動物病院はすでに閉院した時間。
私は、救急診療してくれる三鷹獣医グループという病院を見つけて、タクシーに乗りこんだ。
みっちゃん、どうなってるのよ。
ママ、もう嫌だからね。
みっちゃん…。
私は心の中で叫んでいた。
病院に着くと、すぐに診察が始まった。
出血している口の中を調べる先生。
みつ子は、先生の手に抵抗しながらも、力無く観念しているように見えた。
「前歯が折れてます。口周辺も切れているので、それで大量の出血があったと思いますね。多分、交通事故か。それと顎を骨折しているかもしれないので、レントゲンを撮りたいのですが、体が小さいのでショックで状態が悪化する可能性もあり、明日の朝まで様子を見てレントゲンを撮ります。今日はこのまま点滴をするだけにしておきます」
前歯が折れた……。
私とみつ子、2人揃って年末年始に前歯を折る😂
今だから笑える話だが、当時の私は真っ青になっていた。
あの大量出血は、顔周辺は血管が多くちょっとしたことでも出血するらしい。
内臓疾患ではないことがわかってほっとしたのだが、安堵はできなかった。
顎を骨折している場合、複雑な手術をしなければならない、レントゲン結果待ちなのだ。
先生が言った。
「しかし、この子はガマン強い子ですね。これだけ出血していれば痛いはずで、診察中に大騒ぎするのが普通です。何も言わないでじっとしている。こういう子の場合、飼い主さんに心配かけまいとしてガマンしているんですよ。でもそれが病気やケガの発見を遅らせて悪化してしまうことが多いので、心配ですね」
みつ子、そんなにガマンしなくてもいいんだよ…
痛い時は、痛いって言っていいんだよ…
健気なみつ子を見て、私は涙が出た。
翌朝のレントゲンまでは100%安心はできないが、内臓疾患ではなかったことが判明して、胸を撫で下ろした。
私は、帰りのタクシーの中でHに電話をしていた。
「みつ子ね、体が小さいからレントゲンは明日の朝だって。ショックで悪化するといけないからって。うん、うん、そうなのよ。だから、明日にならないとわかんないけどね。顎を骨折しているかもしれないからって…。また明日電話する。うん、じゃあね」
私の話を聞いていたタクシーの運転手さんが、心配そうに声をかけた。
「大丈夫ですか?お嬢さん…。まだ、小さいんですよね。心配ですね」
「は?」
「いやだから、お客さんのお嬢さんですよ。ケガなさってるんでしょ?」
「あ、みつ子ね。みつ子って、猫なんですよ」
「えぇ? なんだ猫か」
運転手さんは、心配して損したって感じだった😂
今も笑い話のひとつだ🤣🤣🤣
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翌日のレントゲン結果から、みつ子は奇跡的にも軽傷で済み、前歯と口の中を切っただけで、顎の骨折もなく、順調に回復した。
口の中が切れているのだから痛いはずなのに、モリモリご飯を食べていた。
お見舞いに行くと嬉しくてゴロゴロ言うのと、ご飯を食べるハグハグという音がごっちゃまぜになり、さらに動き回るので点滴の管がぐるぐる巻きになる。
本当にこの子はケガをしているのか、と思えるほど元気だった😅😅😅
こうして2000年は、みつ子のケガから始まった。
しかし、明るい希望が見えた年の始まりでもあった…。
To be continued…..