JR高円寺駅北口から正面の商店街を真っ直ぐ進むと早稲田通りにぶつかる。阿佐ヶ谷方面へ左に折れてしばらく歩いたところのクリーニング屋の2階、そこが、東京で最初に借りた部屋だ。クリーニング屋の夫婦が新居を建てる合間の短期契約だったので、格安で借りられた。
高円寺は、自由を絵で描いたような街で、大好きだった。レンタルレコード屋、八百屋、古本屋、インドのお店、めちゃくちゃ安い定食屋、貸本屋とか。
昔から高円寺に住んでたような顔をして、私はすぐに土着した。
私が東京で、真っ先にしたこと。
それは、鮫洲免許センターで原チャリ免許を取ったことだ。
昔からオートバイに憧れていて、大人になったら絶対買う!
ルパン三世の不二子ちゃんみたいにセクシーなオートバイ乗りになるのだ!
ってね🤣
で、当時大人気だったHONDA tact (ちょっとベスパに似たデザイン)を買ったの。
カラーは黒! あの頃は、なんでもかんでも黒だったな〜🤣
さて、浪人時代に知り合った保坂展人氏のグループに、Kさんという人が東中野に住んでいた。
Kさんはデザイン関係の仕事をしていて、礼儀正しくて上品な人だった。
ある日、Kさんは子猫を拾った。
東京に大雪が降った日、足元に纏わりつく子猫。
Kさんは猫好きでもないし、ペット禁止のアパートに住んでる。
このまま放っておこうと思ったが…、できなかった。
雪の中にひとりぼっち置いていくことが、不憫でならなかった。
アパートまで抱いて連れてきて、よくよく見るとケガをしている。
他の猫に噛まれたのか。
次の日、Kさんは会社をサボって動物病院に連れていき、献身的に看病をする。
Kさんは子猫と共同生活を始めたが、猫アレルギーであることが発覚するのだ。
情が移りはじめた頃、しかし健康状態が悪化することを放置することはできない。
それで、Kさんは私に子猫を託すことになる。
この子が、初代猫・TSUNちゃんである!
優しい性格、可愛い声、Kさんが手放したくなかったことがよくわかる。
超甘えん坊なのだ。
タキシードを着たような模様、手足は白いソックス、でも顔の模様が若干マヌケ🤣
どうしてこんな模様になっちゃったのかね…。
いつも困ってるような顔に見えるんだよね🤣🤣🤣
私は、TSUNちゃんを猫可愛がりした。
TSUNちゃんは甘えん坊で、ベッドで一緒に寝るし、膝に乗って甘えるし。
猫って、こんなに可愛いんだ…。
何があっても、守ってあげたい。
この子のためだったら、なんでもする。
こんな気持ちは生まれて初めてだった。
これが、いわゆる母性本能なのか?と。
こうして、私とTSUNちゃんの、高円寺での生活が始まったのである。
To be continued….