REXシーズン1
第2話「刑事犬の誕生 後編」
Endstation Wien Erster Teil（原題）
昨日の続き。
ロシア政府の悪徳役人とウィーンの悪徳業者のワイロが発端で起きた爆破殺人事件は、逮捕された入院中の犯人が何者かに殺されたことで、余計ややこしくなってくる。
90年代のヨーロッパ裏事情がからんだ事件のようで、私は1度見ただけでは良くわからなかったのね。
背景は旧ソ連が崩壊した直後で東ヨーロッパが混乱してるようなの。
旧ソ連時代は役人にワイロを渡せば違法な商売できてたけど、ロシア政府になってから事情が変わったというのが、事件の背景にあるらしい。
ホテル・ザッハが登場して（！）、そこで食事をする裕福な人間がいると思えば、スリをする貧しい少年や、一歩裏道を入ると窓ガラスが割れてるようなわびしいアパートが出てきたりして、様々な顔を持つウィーンの風景も興味深い。
有名なホテル・ザッハと「ザッハトルテ」。
重要人物を尾行してホテルに入るんだけど帰りに、ちゃっかりザッハトルテを買ってきて、オフィスで食べてる風景、羨ましかったな～。本場のザッハトルテがおやつで食べられるなんて！！この殺人課の刑事3人、いつも何か食べてるのよね～。
それと、モーザー警部のセリフの端々から、彼は貧しい少年時代を過ごしたことや、ロシアの闇商人と交友関係があったり、複雑な生い立ちを思わせるところも面白い。
どこかで心を閉ざしているモーザーと、主人を犯人に殺されて悲しみに暮れるREXが、必然的に心を通わせるようになる背景を第1話で描いてるんだよね。
だから第1話を見ないと、全体像が見えなくて中途半端だったんだ～。
そして、私が一番好きなシーン…
主人を亡くしたREXは、警察犬の犬舎でご飯も水も飲まず、グッタリしたまま。
ある日、REXは犬舎から逃げ出すのだ。
向かった先は、主人の墓。
墓には鮮やかな花が一面に飾られている。
そこに寄り添うREX。
REXが犬舎から逃げ出したという連絡をもらったモーザーは、REXがどこにいるかすぐにわかった。
「ここにいると思ったよ」
モーザーはREXに、ヴルストゼンメルを差し出すが食べようとしない。
かまわずモーザーはREXに語りかける。
まるで、人間に話しかけるみたいに、べらべらといろんなことをね。
「一緒に来ないか」
立ち上がって歩き始めるモーザーは、しばらくして振り返る。
でも、REXはついてこない。
「やっぱり、ダメか」
しかし、しばらくしてREXは決意したように、むくっと立ち上がった。
そして、モーザーの姿を追い走り始めた！
モーザーを見つけたREXは、「ワン！」と吠える。
モーザーに駆け寄り飛びつくREX。
楽しそうに笑いながら抱き合う二人。
二人は、飛んだり跳ねたりしてじゃれながら並木道を走っていく…。
このシーン、まるで恋愛映画のワンシーンみたいにキレイなんだよね～。
墓地の並木道、あれは有名な中央墓地の並木道だろうか…。
とにかく、キレイなんだな～。
REXとモーザーの始まりを感動的に捉えたロングショットは、一度見たら忘れられないシーン。
離婚したばかりの傷心の刑事と主人を亡くした警察犬が心を通わせるというのも、お決まりの設定かもしれないんだけど、モーザー演じるTobias MorettiとReginald君の魅力が、見る者を惹きつけるのだろう。
その後、モーザーは警察犬担当の人とケンカして無理矢理REXを連れて帰り、殺人課の上司には、ちゃっかりOKをもらって、めでたくREXは「刑事犬」になるわけ。
事件はいつもの通りREXが証拠品を見つけて、追跡、確保、というお決まりのパターンで解決。
ロシア高官に渡すはずの賄賂を着服していた女が、その事実をかぎつけた仲間達を次々に殺していったという話でした。
お金って、本当にいや～ね。
それと、お金の単位がユーロじゃなくてシリングなのも時代を感じたな～。
第1話は90分のTVムービーなので、登場人物たちの紹介も兼ねて、結構盛りだくさんでした。
モーザーは離婚したばかりで、部屋にはベッドとソファとたくさんのトロフィーだけが残されたアパートに住んでて、壁にはトラック運転手（！）だった頃の写真が貼られていたり。
トロフィーはモーザーにとって宝物らしく、REXがトロフィーで遊ぶと激怒する。
このトロフィーは何？という疑問は、シーズン２、３あたりでわかってくるんだよね。
それとモーザー扮するTobiasさんがプライベートではレーサーをやるほど車好き、っていうのも脚本に盛り込んでるのかも（笑）。実際モーザーの運転はプロっぽい。
カーチェイスのシーンがそんなに出てくることはないんだけど、飛ばす飛ばす（笑）
助手席に乗るREXの頭がグラグラしてたりして、大丈夫か？と思う時もあったくらいだ。
モーザー＆REXの他の登場人物もみんな個性的で、それはおいおい紹介していきますね
記念すべき第1話を見終わり、ますます楽しみなREXでした～。
