I LOVE MY LIFE −猫とROCKと愛の日々−

2022年11月から1年に渡って還暦ブログをほぼ毎日更新、2023年11月からは海外ドラマ「Kommissar REX」そして、REXドラマの🇨🇦版/🇮🇹版のレビュー記事。それ以前は海外ドラマ「Kommissar Rex」全編のレビュー記事です。

Walking on thin ice 吉祥寺編⑤

 

BOSS、闘病生活。

 

1998年3月5日、東京ドームでのU2 POP MART tourの感動のあとは、またBOSSとの闘病生活、いつもの日常に戻った。

BOSSの容態は少しずつ悪化、春暖かくなってからは、ほとんど寝て過ごしていた。

この頃にはもう入院はさせていなかった。ダクタリ久我山病院の先生が、BOSSのためにも、家で療養させた方がいいと判断したからだ。定期的に通院、点滴をする治療だけになった。


BOSSはそんな状態にもかかわらず、私が自転車で帰ってくる音を聞くと、ヨタヨタと玄関まで迎えに出てくる。ハスキーな声で「あ〜ん、あ〜ん」と言って甘える。

 

私が鍵を開けてドアを開けると同時に足を踏み外して転げ落ちてきたこともあった。


「バカだね、お前は。猫なのに落っこちるなんて」

 

私はわざとふざけて笑ってBOSSに言う。するとBOSSも、

 

「でへへ」

 

とでも言うように、バツの悪そうな顔をする。

気を張っていなければ、崩れてしまいそうだったから、いつも笑ってふざけて話しかけていたんだね。

 

食事はもうスープ状のものしか食べられず、スプーンで食べさせた。

薬を飲ませるのはだいぶ慣れて、素早く飲ませることができた。

BOSSは私を手こずらせることなく、二人三脚で闘病生活を送った。

 

BOSSとDONはいつもくっついていた

ある日、仕事帰りにダクタリ久我山病院に連れて行くことになって、BOSSをサロンの事務所で待たせたことがあった。

「ボス、いい子にしてるんだよ。すぐ戻ってくるからね」

と言って、サロンで仕事をしていたら…

 

「ウォ〜〜ン!ウォ〜〜ン!ウォ〜〜ン!ウォ〜〜ン!」

 

と大きな声が響いてきた!

私は、即座にBOSSの声だとわかったが、接客中の手前、聞こえないフリをする。

「何、あの声、何かの動物の声???」

ざわつくサロン。私はとぼけた顔で、

「なんでしょうね〜、野良犬が外で鳴いてるんでしょうか?」

サロンの外に出てエレベーターホールに出るふりをして、事務所にひっかえした!

「ボス! ママはお仕事だからって言ったでしょ! もう少しで終わるから、泣かないの!」

と言い聞かせたが、心配そうな顔で私を見る。知らない場所に連れてこられて、置き去りにされたら不安なのは当たり前だよね。

「大丈夫、私が見ててあげるから、仕事行ってらっしゃいよ」

とパートの女性が言ってくれた。

 

あの得体の知れない声は、BOSSの特技の一つでもある。

危機的状況になったときの「S.O.S.」サインなのだ。

まったく猫の声とは思えない変な声😂

仮病もできるし、死んだふりもできるし、声色まで使える猫って…..

なかなかの才能だよね😂😂😂

 

こうして、私は仕事場の同僚にも助けられ、BOSSとの闘病生活は続いた。

 

この年は5月から早くも夏の暑さ。5月15日も夏日だった。

出勤後、私は予約客を確認していたのだが、何かこう、心がざわつく。

 

BOSSが気になる。

 

「店長、今日の予約はひとりなんですが、ちょっとBOSSが気になるので、予約変更してもらって、早退していいですか?」

 

私は自転車に乗って急いで家に帰った。

ドアを開けると、玄関にBOSSがいない。

 

「ボス?」

 

BOSSは寝ていた。

いつもと違う時間に帰ってきたから気づかなかったんだ。

 

脚を触ると、ひんやり冷えている。

タオルを巻いて温める。

 

もう、BOSSの両手両脚の毛は抜け落ちていて、ピンクの地肌が痛々しかった。

顔半分も毛が抜けて、ピンクの顔だった。

皮膚が薄い部分の毛が抜けてしまっていたのだ。

顔は鼻水や目やにが出るから、どうしても自分で擦ってしまうので抜けていく。

あの、真っ白な鼻筋が通ったハンサムなBOSSの顔ではなくなって…。

 

心配した割には元気だったので、私は洗濯を始めた。

窓をバーっと開けて空気を入れ替える。

BOSSはゆったりと寝ているし、取り越し苦労だったな。

 

私はU2のZOO TV Tourのライブビデオを出して、映像を見ながらBOSSに添い寝した。

 

「ボノ、カッコイイわー」

 

BOSSの背中にぴったり寄り添って、私はいつのまにか寝てしまった。

 

いきなり、BOSSがゲホっと言って咳き込んで、私は飛び起きた!

 

「ボス! どうした! 大丈夫か?」

 

私は必死になって背中をさすった。

すると、BOSSは少し落ち着いて、息をした。

私はコップの水をスプーンですくって、BOSSの口元に持っていくと、BOSSはペロペロと舐め始めた。

 

良かった。びっくりさせないでよ。

 

私はまたテレビに視線を移した。

ボノが、Oneを歌っている。

 

また、BOSSがゲホっと言って咳き込んだ。

 

「ボス! どうした? どうしたのよ!」

 

私はBOSSの体を抱えた。

BOSSの体から、徐々に力が抜けていくのを感じて、私は大声で叫んだ。

 

「ボス! なによ! 死んだふりなんかしてるんじゃないよ!起きなさい!ボス! 起きなさい!」

 

するとBOSSは、いきなりぷはーっと大きく息を吸い込んだ!

 

「ボス! ふざけるんじゃないよ! ママ怒るよ!」

 

しかし、また少しずつ力が抜けていくBOSS。

 

「ボス! ボス! しっかりするんだ! 死んだふりしてるんじゃない!ボス!」

 

 

ボノが、Oneを歌っていた。

私は、ボノの歌を聴きながら、BOSSの身体を抱きしめていた…。

 


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To be continued....