私の原点・30年目のケニア
第8回 Ostrich, dance! dance! dance!
ケニア滞在終盤、どんよりとした曇り空が、サバンナとの別れの寂しさ、離れがたい風景への思いと重なって、しんみりとした気持ちに拍車をかける。
ぼんやりとサファリカーから外を眺めていた時、遙か遠くに、いくつかの「点」が近づいてくるのが見えた。
Mr.Mishackはサファリカーを停めて言った。
「Ostrich comes」
彼の脅威的な視力は、私の双眼鏡より高性能だ。
毎度のことだが、双眼鏡なんか必要ないね。Mr.Mishackが双眼鏡だもの🤣
しばしエンジンを切って、ダチョウ兄弟(オスは羽根が黒っぽいので5兄弟だと思う)が、こちらに来るのを待った。
少しずつ鮮明になる彼らの姿。
きれいに一列に連なって、リズミカルに、しかも蛇行しながら先頭のリーダーの後ろを正確に走る姿は、まるでダンサーのようで、溜息が出た。
そして!
彼らは私たちの前で一列に並んで止まった!
ステージで挨拶するように!
私はシャッターを押し続けたが、どうもピンが甘くて残念な写真だ😮💨😮💨😮💨
曇空と露出とかいろんな調整がダメで素人だよなー、まったく。
だけど、この時の感動を呼び起こすには十分。
はためく羽根のゴージャスなこと。長い脚と首のバランス、計算された完璧な美しさ。
自然界には、本物の美しさが存在するのよ。
この写真はオスがメスを追いかけてるシーン🥰オスの顔が必死で可愛い🤣
こちらはメスが優雅にお散歩中…アンニュイな感じがいいねぇ🤔
子どもの頃、一心不乱に読んだ本があった。
『かたあしだちょうのエルフ』
若く、強く、正義感あふれたダチョウのエルフ。エルフの活躍と、そして厳しいサバンナの掟が淡々と描かれる。
ライオンと闘って片足になったエルフが、子どもたちを助けるために最後は黒豹と闘う。そして、エルフはいつのまにか一本の木の姿に変わっていた……というお話。
エルフの記憶があまりに強烈で、サバンナにぽつん、ぽつんと立つアカシアの木を見ては、「エルフだ…」と思ったり。
Ostrich dancers,
彼らは何を思って、私たち人間の前で一瞬止まったんだろう。
人間を恐れるわけでもなく、ましてや攻撃してくるわけでもない。むしろ視界に入ってないように思える瞬間もある。
でも、あのダチョウ兄弟たちは、確かに私たちを意識して止まったように思えた。
サバンナの美しさを忘れるな。
ここを去ることが名残惜しく、感傷的になっていた私へのメッセージだったのかもしれないね…。
To be continued…