Crime of Love ケニア編①で書いた通り、私は30歳で初の海外旅行、飛行機に乗った。
ケニアに行くためには予防接種、パスポートの準備、一眼レフカメラ、望遠レンズ、サファリのための装備など、全てを揃えなければならなかった。
Hがアメリカ滞在が長く、英語が堪能だったことで、悲願のケニア旅行が実現したのであり、今も感謝しています!
さて、旅行初日。
インド・ボンベイでの6時間トランジットでの摩訶不思議な体験。
6時間も空港内で過ごすことになったのは、少しでも旅行代金を節約したかったからだ。
なるべく長くケニアに滞在したい、というのがあった。
6時間も何して過ごそう、あ、とりあえずタバコでも吸いに行くか、と思ったらタバコがきれてる。
予備は全部スーツケースに入れたので、手元にはない。
それで、Hと一緒に免税店にタバコを買いに行った。
すると…。
「はぁ?何でだよ! 1カートン100ドルって? 何言ってんだよ!」
Hは、明らかに爆発寸前で、英語でまくしたてている。
「はぁ?もう閉店後だから、値段が上がったって? 何寝ぼけたこと言ってんだよ!」
「おい、コイツら、こんな馬鹿なこと言ってるぞ。どうする?タバコ1カートン100ドルって、聞いたことない。それでも買うの?」
「だって…。吸いたいからしょうがないじゃん。買うよ」
私たちが言い合ってる間に、免税店のインド人は、店じまいを始める。
買うんだったら、100ドル。100ドル出さなきゃ売らない、と言われる始末。
日本人だと思って、ふっかけてきたのだが、結局100ドルで買う羽目になり、そのあとのHの機嫌は最悪になる。
「だいたい、お前がタバコを吸ってるのが悪い!」
八つ当たりをされ、私はただただ恐縮するのみ。
さらに、今度は空港のスタッフが、トランジットはパスポートを預かる、と言いに来た。
「はぁ?そんな話聞いたことないぞ。パスポート取り上げるのか?」
Hは、空港スタッフにまくし立てるが、問答無用で私たちのパスポートは取り上げられてしまう。返してくれるのか?と何度も質問するが、返す、返す、と言うだけで、全く信用できない雰囲気。
なんだか出発早々、険悪な雰囲気な私たち。
私はトイレに行きたくなって、女子トイレに行った。
ここでも、度肝を抜かれるのである!
5人くらいのインド人の女性たちが、トイレの入り口の床に座り込んで、食事をしているのである!
「!」
1人の女性が、にこやかに私のそばにきて、トイレに案内してくれるのだが、こっちは2ドル、こっちは20ドルね、と説明するのだ。
もうおわかりだろう。
2ドルのトイレは、ぐっちゃぐっちゃのすごいトイレで、20ドルのはきれいとまではいかないが、普通のトイレである。
私は、いったんHのところに戻って説明すると、
「お前がトイレに行きたいなんて言うから、こんなことになる!」
とまくし立てる始末。ていうか、生理現象だもんね、仕方ないよ。
で、私は、20ドル払って普通のトイレで用を足し、ドアから出るとインド人の彼女が、トイレットペーパーを片手に、にこやかに控えている。手を洗ったあと、このトイレットペーパーで拭けというのである。
言うがままに手を拭くと、彼女はまだ私のそばから離れない。
あ、そうか、チップか。
財布の中を見ると、20ドル札しか入ってないのだ!
小銭なんて持ってないし。
あー、また20ドルか。
私は渋々、20ドルを渡した。その時の彼女の顔ときたら!
この日本人は馬鹿か?と言わんばかりに満面の笑み。
トイレ入るだけで40ドルって、あり得ないでしょ。
タバコに100ドル。あー😔😔😔
それ以来、Hのインド人嫌いが始まり、差別用語のオンパレード。
私は、それを聞き流し、まぁまぁ、となだめる旅の始まりだった…。