私の原点・30年目のケニア第2回
美しくも哀しい、
サバンナのStatue キリン
サファリカーで走ると、アカシアの樹々が群生している場所がところどころ見える。
それらの樹々の間から、ヌーっと大きな頭が見え隠れする。
キリンだ。
これは、マサイキリン(Masai giraffe)の子ども。
あどけない表情と、頭のてっぺんの産毛が風に揺れて可愛らしい。
子どもはどんな生き物でも無条件に可愛いが、キリンの子どもは特別可愛い。
この可愛いキリンの母親とその姉妹がふっと立ち止まり、遙か遠くを見つめる。
サバンナの乾いた風に吹かれて、立髪が揺れていた。
風が吹くたびに子どものキリンの産毛がふわふわと揺れていた。
大人のキリンは、ゆ〜っくりと大股で歩くが、この子はピョコピョコ跳びはねて、大人たちのあとを追った。
動物園では、狭い空間を歩き回るしかないキリンたち。
でもサバンナでは、こんなにも優雅に大股でのっしのっしと歩く。
一瞬、子どもの頃に見た怪獣映画のようで、不思議な感覚にとらわれた。
マサイキリンの模様は星のような形をしていて、白い部分が多い。
アミメキリン(Reticulated Giraffe)の写真と比べてみると、違いがわかると思う。
日本の動物園でも、アミメキリンの方がポピュラーだと思う。
悲しいことに、2019年にマサイキリンは、絶滅危惧種に認定された。
30年前に比べて生存数が半減したというのである。
原因はもちろん、密猟である。
この星型の繊細な模様が珍しく、密猟者のターゲットにされたのだ。
私がケニアに行ったのは、ちょうど30年前だ。
あの頃から半数になってしまったとは、驚きを隠せない。
たしかに、アミメキリンよりも遭遇する確率が低かった。
それだけに、このマサイキリンの親子たちに会った時の感動を思い起こす。
なぜ、人間は生きてこそ美しい動物たちを殺して、それを所有したがるのだろう?
私には、その意図が理解できない。
キリンは、
生きてサバンナの大地を踏みしめ、
乾いた風に吹かれる姿こそが、美しい。
身勝手な所有欲で奪われる命の重さはどれほどのものか。
いつか人間は、この大き過ぎる対価を払う時が来るだろう。
To be continued....